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長崎新聞掲載20190711【宴家そく彩にて試食会-海洋環境再生への取組】

2019.07.11

【記事内容】 

 磯焼けの一因とされる魚類「アイゴ」と「イスズミ」の食用化が進んでいる。臭みがあることなどを理由にほとんど流通せず廃棄される“厄介者”とされてきたが、長崎市内の居酒屋は「食べて駆除することが海の再生への近道」として近く、メニュー化する考えだ。
 磯焼けは、魚介類の産卵・育成の場で海水浄化機能を持つ藻場が衰退し回復しない現象。水温が上がる梅雨時期に見られていたアイゴやイスズミは、地球温暖化の影響で一年中、定着するようになった。県漁港漁場課によると、1989年に県内で約1万3400ヘクタールあった藻場面積は、2013年には約8200ヘクタールまで減った。
 「市場価値がなく漁獲する人がいなかった。水揚げしても廃棄されていた」と話すのは元県漁連職員で、一般社団法人マリン・アクティブ(同市)の西崎茂一代表理事。食用化に注目し、ネックだった臭みは新鮮なうちに内臓や頭を取り除くなどして軽減することが分かった。漁協に協力を仰いで流通に結び付けようと検討している。磯焼けの解消だけでなく、魚価単価を上げ漁業所得の向上といった好循環を思い描く。
 西崎代表理事の思いに賛同した長崎市五島町の和風居酒屋「宴家そく彩」の尾上辰也代表は「臭みを取り除けばポテンシャルが高い。長崎の特産品になるよう、つなげていければ」と話す。近く、コース料理と一品料理で提供していく計画。
 水産関係者らを招いた試食会が7月上旬、「そく彩」であり、アイゴは刺し身のほか、しゃぶしゃぶに、イスズミは炒め物などに調理されて振る舞われた。参加者からは「臭みもなく、遜色なく食べられる」「おいしくないとの先入観があったが、イメージが変わった」などの声が上がった。